ナショナルアンセム 0004 【卒業】

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この作品を作る時、「自主映画を卒業しよう」という自分の中でのテーマがあった。

というのも、

撮影や準備でバイトもろくに出来ず、よって金もなく、家賃も払えず、親には心配され、弟は立派に就職し、同期は劇場デビューを果たし、だが自分には未来の希望もなく、過去に作った映画だって認められず、無名なまま20代も後半にさしかかっており、やるぞ!と思ってもスタッフに逃げられ、父親は逮捕され、母親のアル中は深刻さを増し、家族は飼い犬の話題しかしなくなり、シナリオを読んだキャストからは「意味がわからない」と詰問され、飲み屋で「出世しない顔」と言われ・・・etc.

もう、まったくもって自主映画監督なんてロクなもんじゃない、と本気で思っていた。

卒業しよう。

そう思った僕は、これを「自主映画卒業メモリアル作品」と心中で銘打ち、
最後の自主映画なのだから、
「これって自主映画っぽいからやめよう」「あの監督に似てるからやめよう」というカセを外した。
他人から「映画ごっこ」と揶揄されても構わない、だって卒業するも?ん!
そういう覚悟(?)でこの作品に挑んだ。

さっそく、上の写真のようなシーンをノリノリで撮った。
これは『女ボスと悪の集団』である。

友人たちに「何か黒いもの持ってきて。悪役なので」と電話をしたら、
黒いごみ袋や、黒い傘、黒いヘルメットを手に集まってくれた。
いい人たちだ。

「ボスを尊敬の眼差しで見上げて」と言ったら、何の疑問も口にせず、目を細めて見上げてくれた。
ほんと、いい人たちだ。

こうして撮って行くうちに、気が付いたら
「自主映画こそ、映画の最高形態なんじゃないか」と思い込めるようになった。

あれから6年、いまだ卒業せず、
「自主映画学園」の在校生である。


(西尾孔志)
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